山本会計事務所


税務コラム NEWS

    
【筆頭株主であっても分掌変更に伴う退職と同様の事実を認定】  2008年12月5日
  •  病気の悪化を理由にした役員の分掌変更に伴って支給した退職給与に係る損金算入の可否、また源泉所得税の納税告知処分の可否が争われた事案で、東京地裁(杉原則彦裁判長)は事実認定の上、分掌変更に伴う実質的な退職の事実は認めたものの、退職給与が未払処理されていたことから、損金算入そのものは否定する判決を言い渡した。

     この事件は、洋品雑貨の販売、呉服等の繊維製品の販売等を行う法人の代表者が病気を理由に取締役から監査役に就任したことから、法人側がその役員に分掌変更に伴う退職給与を支給、損金に算入して申告したことが発端となった。

     この申告に対して、原処分庁が実質的に経営から退いたとはいえないから給与所得に当たると判断、損金算入等を否認して法人税の更正処分、過少申告加算税の賦課決定処分等をしてきたため、提訴してその取消しを求めていたという事案だ。つまり原処分庁は、代表者が代表取締役を退任後も筆頭株主であったことや、多額の補償金を取得したことに伴って発生する高額の納税義務を回避するために行われた退職金の支給であるという認定から否認してきたというわけだ。

     これに対して判決は、監査役就任をもって経営上重要な地位・権限が残っているとは見られない、筆頭株主であっても株式の保有割合に応じた影響力や発言力を持っているわけではない、さらに多額の納税義務の発生を回避することが動機になっていたとしても、実質的には退職と同様の事情にあると認定。しかし、法人側はこの退職金を未払処理としていたため、退職給与が損金に算入した事業年度の末日までに確定していたと認めることは困難と指摘、損金算入そのものについては否定する痛み分けの判決となった(確定)。 

    (2008.06.27 東京地裁判決、平成18年(行ウ)第466号、19年(行ウ)第270号)

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  • (提供元:21C・TFフォーラム)

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    公認会計士・税理士
    山本 祐一

 経歴

   1956年 茨城県神栖市波崎生
   1975年 銚子商業高校卒業
   1979年 専修大学商学部卒業
   1987年 監査法人トーマツ退社
   1987年 山本会計事務所開業

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