今月の商売のヒント
【商売の「カキクケコ」】 2011年3月16日
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昨年チリで起きた鉱山事故のてん末には何かと考えさせられました。役割分担の重要性。リーダーたる資質。極限状態の人間心理。礼拝による心の平静。さらに、奇跡的な大救出劇のあとから漏れ伝わるこぼれ話は、人間がいかに「欲」の支配下にあるかを物語っていました。
少ない物資を分け合っていたときは団結していたのに、地上と交流できるようになって食料などに困らなくなると、テレビ電話の利用時間やテレビのチャンネル争いなど、生存と関係ないところでケンカが絶えなくなったそうです。事故を追ったドキュメンタリー番組で、ある作業員が「救援物資が届くようになってから人々の心に欲が生まれた」と話していました。
事故当初は「とにかく全員で無事に脱出」が作業員の一致した願望だったに違いありません。ところが、生存の危機という局面に希望が見え始め、閉じ込められた状態に慣れてきたことで、個人的な欲が顔を出し始めたのではないかと想像します。余裕と慣れは欲を生むのでしょう。
帝国データバンクが創業100年以上の老舗企業4000社を対象にしたアンケートによると、「家訓・社是・社訓」があると答えた企業が77.6%にのぼったそうです。
その共通点を分析したところ5つのキーワードが浮かび上がり、見事に「カキクケコ」になっていました。「カ=感謝、キ=勤勉、ク=工夫、ケ=倹約、コ=貢献」
帝国データバンクでは、この「カキクケコ」を「会社が100年続く条件」として いました。100年の間にはそれなりの浮き沈みがあったでしょうが、業績が良くても悪くても「カキクケコ」を忘れない。「会社のカキクケコ」は、余裕と慣れへの戒めであり、つまりは「欲」に対する警鐘ともとれます。個人的な欲が商売の方向性を狂わせていないでしょうか。新年を迎えて身が引きしまる今の時期は、5つのキーワードから自らの商売を考えてみる絶好の機会ではないでしょうか。