税務コラム NEWS
【小規模宅地の特例とは】 2003年10月6日
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小規模宅地の特例
1.適用対象者
小規模宅地の特例を適用できる者は、「相続または遺贈により小規模宅地の特例の適用対象となる宅地等を取得した個人」に限られます。また、「相続または遺贈により」とされていますから、贈与により取得した場合も適用することはできません。海外に居住している個人が相続または遺贈により小規模宅地を取得した場合も小規模宅地の特例を適用することができるとされています。2.分割要件
遺産分割協議が調っていない宅地については、それがたとえ被相続人の事業用宅地や居住用宅地であったとしても、小規模宅地の特例の適用を受けることがでません。具体的には、相続税の申告期限(被相続人が亡くなった日から10か月以内)までに、相続人間で相続財産のうち、どの宅地を誰が相続するかにつき協議し、相続人全員の同意を得たうえでその帰属を決定する必要があります。そうはいっても、相続人間でどうしても遺産分割協議が調わない場合もあるでしょう。そのようなケースであっても、相続税の申告期限後三年以内に分割された場合には、小規模宅地の特例の適用を受けることができる。
3.手続
相続税の申告書に小規模宅地の特例を受ける旨を記載し、明細書その他一定の書類を添付して税務署に提出する必要があります。なお、「その他一定の書類」とは、遺産分割協議書の写しや戸籍謄本、住民票の写しなどをいうこととされています。以上の三要件を満たしつつ小規模宅地を相続した場合には、最低でも宅地に対して、その相続税評価額の50%相当額を減額して相続税の課税価格とすることができます。
さらに「特定の要件」を満たす場合には、適用限度面積や減額割合がさらにアップします。
「特定事業用宅地等」
相続した小規模宅地について、さらに特定の要件を満たす宅地については、それが「特定事業用宅地等」である場合には、適用限度面積が400u拡大し、減額割合も80%にアップします。この特定事業用宅地等の要件は
@被相続人の親族が事業用宅地を相続又は遺贈により取得すること
Aその親族が相続開始時から申告期限まで被相続人が営んでいた事業を承継し、継続すること
B申告期限までその事業用宅地を保有すること。「特定居住用宅地等」
相続した小規模宅地がさらに特定の要件を満たす「特定居住用宅地等」である場合には、適用限度面積が240uに拡大し、減額割合も80%にアップします。特定居住用宅地等の要件
この特定居住用宅地等の要件としては、被相続人と同居していた親族、あるいは生計を同じにしていた親族などが被相続人の居住用宅地を相続し、かつ、申告期限まで引き続き居住用として使用し、保有することなどがあげられます。