税務コラム NEWS
【生命保険の権利の評価】 2003年11月17日
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本年度の改正で、生命保険金の権利の相続税評価に関する法律の規定が廃止されたが、経過措置で3年間は廃止前の規定が効力を有することとされており、結果的に3年間は解約返戻金相当額と従来の評価方式で評価した金額との有利なほうを選択できることになる。
保険事故が到来していない生命保険金の権利を相続した場合には、その評価額は、「払い込まれた保険料の合計金額(その時までに保険料の払込期日の到来していない部分を除く。)に100分の70の割合を乗じて算出した金額から、保険金額に100分の2の割合を乗じて算出した金額を控除した金額」とする旨が改正前の相続税法26条に規定されていた。この規定は、解約返戻金の算出に手間がかかった当時の簡便的な評価方式として定められたもので、パソコン等で簡単に解約返戻金の金額を算定できる現状では、解約返戻金相当額を評価額とすべきではないかとの指摘がかねてからなされていた。
今回この規定が廃止されたことで、生命保険金の権利の評価は財産評価基本通達で定められることとなり、解約返戻金相当額が評価額とされるが、改正法では、経過措置が設けられ、平成18年3月31日までに相続等によって取得したものについては改正前の評価方式を「適用できる」こととされている。このため、結果的には、この間については、払込保険金等を基にして評価額を計算する従来の評価方式と、解約返戻金による評価方式が並存することになり、納税者はいずれか有利な方、つまり、評価額の低い方の方式によって評価することが可能になるわけだ。 -
(提供:税研情報センター)