税務コラム NEWS
【財産債務明細書 税務署で発送始まる またも資産家は財産公開】 2003年12月22日
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財産債務明細書
年の瀬が近づき資産家たちが「財産債務明細書」の存在を気にし始めている。年間所得が2千万円を超えることが見込まれる富裕層に対し、税務署が毎年この時期に発送する書類だ。これを受取った人は12月31日時点の所有財産や借金について、その種類や金額を記入し確定申告書と一緒に提出しなければならない。
具体的に財産債務明細書に記入する内容は、土地建物、山林、現金、預貯金、有価証券、貸付金、受取手形、未収入金、1点10万円以上の書画・骨董・美術工芸品、貴金属類、自動車や家具などの一組の価額が10万円以上の家庭用動産といった財産。そして、借入金や支払手形、未払いの税金などの債務だ。
何も悪いことをしていなくてもこれだけの「個人情報」を記入して税務署に提出しなければならないため、納税者にとっては面白くない話。しかし、税務署にとっては調査に行かなくても居ながらにして情報が入って来るため、貴重な資料となっている。
納税者から提出された財産債務明細書は、調査対象を選定する際にふる活躍される。納税者の資産状況をチェックし、確定申告書に記載された申告所得などとのつき合わせが行われるわけだ。たとえば、昨年まで所有していた土地や有価証券などの高価な資産が今年の明細書に載ってこなければ、現金化された可能性があり、その分所得も増えていなければならないことになる。
同明細書は、年間所得が2千万円を超えると見込まれる納税者に的を絞って送付される。同明細書が届いても、所得税の確定申告書を作成した結果、年間所得が2千万円以下なら提出する必要はないが、逆に同明細書が届いていなくて年間所得が2千万円を超える人は、税務署に同明細書を取りに行って提出する必要が出てくる。
ただ同明細書は、提出しなかった場合にペナルティーがあるわけではない。そのため、「そんなプライベートなことまで税務署に知らせる必要はない」と、あえて提出しない人も少なくないという。税務署では完全回収を目指しているが、経済情勢が不安定な折、回収困難が予想されている。 - 〔制作・著作 (株)エヌピー通信社〕