税務コラム NEWS
【活用が拡がる現物出資】 2003年9月29日
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現物出資とは、金銭でなく、不動産、債権などを出資して会社の設立や増資を行う方法です。
従来は、現物の評価証明に検査役の検査が必要など手続が煩雑なため、実務上あまり利用されていませんでしたが、評価証明者の範囲拡大により、実務上の活発な利用が考えられます。
あらたに税理士・税理士法人、公認会計士・監査法人の評価証明が可能になりました。
全国に6万人以上いる税理士・税理士法人が現物出資の財産評価を証明できることは、今後の現物出資の利用に大きな広がりが予想されます。
1.利用方法
現物出資財産の証明が、税理士法人なども行えるため、つぎの利用が考えられます。
1)会社設立時の発起人が行う現物出資
2)会社設立後の財産引受や設立後2年以内に資本1 /20以上の資産を取得する事後設立
3)現物出資による増資2.証明業務のポイント
@証明方法― 資本充実の原則を維持するため、財産評価額、財産の所在の証明が必要
例)金銭債権の証明方法は、つぎの証明が必要です。
1)財産の所在
契約書や残高確認状による債権などの所在確認の証明
2)財産の評価額
回収可能性や倒産リスクを加味した現在価値に基づく評価額の証明A証明責任―現物出資財産の評価が過大であった場合、証明者は、過失がなかったことを立証しないかぎり、不足額の補填責任、損害賠償責任を負うことになります。
1.現物出資財産が不動産の場合、不動産鑑定士の鑑定評価も必要です。
2.現物出資財産の評価証明書は、会社の設立・新株発行の登記時の添付書類となります。
3.現物出資の税務上のとり扱い
受入会社- 資本等取引に該当するため課税関係は生じません。
現物出資者
1)法人の場合
(1)適格現物出資の場合、現物出資財産を簿価で譲渡することになるため譲渡損益は発生しません。
(2)非適格現物出資の場合、現物出資財産を時価で譲渡することになるため譲渡損益が発生します。
2)個人(オーナー)
不動産など譲渡所得の基因となる資産の現物出資の場合、譲渡所得(損失)が発生します。(情報提供:Grant Thornton ASGグループ ASGマネジメント)