税務コラム NEWS
【妻への報酬「経費でない」】 2005年6月7日
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≪「生計を一にする親族」≫
弁護士の夫が税理士の妻に支払った会計業務の報酬を必要経費と認めなかった課税処分が、憲法の平等原則に反するかどうかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第三小法廷は5日、「課税は合憲」と判断し、弁護士側の上告を棄却した。
報酬を必要経費と認めた1審東京地裁判決を覆し、弁護士側逆転敗訴を言い渡した2審東京高裁判決が確定した。
判決理由で上田豊三裁判長は「生計を一にする親族間で支払われた報酬は必要経費としない」とする所得税法の規定について「それぞれが独立して事業を営む場合でも、要件を満たせば規定が適用される」とした昨年11月の最高裁判決を引用した。
訴えていたのは東京弁護士会所属の男性弁護士(49)。1995−98年、顧問契約を結んだ妻に支払った計約290万円の報酬を必要経費と申告したが税務当局は認めなかった。
弁護士側は「独立して事業を営んでいるのに、親族間というだけの理由で経費と認めないのは不合理な区別だ」と主張。1審判決はこれを認め42万円の返還を命じたが、2審判決は「2人は同居し、家計を負担し合っており、同一生計といえる」と逆の判断を示した。 -
((共同)産経新聞より)