税務コラム NEWS
【約40年ぶりの大改正となる減価償却制度の見直し】 2006年12月19日
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平成19年度税制改正の基本方針は、経済活性化に向けて企業の国際競争力の強化や中小企業の支援・強化のための税制を拡充したことにある。その柱は、約40年ぶりの大改正となる減価償却制度の抜本的な見直しだ。設備投資を促進するため、また、国際競争力強化の観点から欧米諸国と同様に、投資額の全額を損金算入できるように制度を改める。
具体的には、残存価額(10%)と償却可能限度額(95%)を廃止する。平成19年4月1日以後に取得する減価償却資産について、残存価額を廃止し、この場合の定率法の償却率は、定額法の償却率(1/耐用年数)を2.5倍した数とする250%定率法を導入し、法定耐用年数経過時点で100%まで償却可能な制度とする。
また、平成19年4月1日以後に取得する減価償却資産については、耐用年数経過時点に1円(備忘価額)まで償却できることとし、償却可能限度額を廃止する。平成19年3月31日以前に取得した減価償却資産については、償却可能限度額まで償却した事業年度等の翌事業年度以後5年間で均等償却できることとする。
一方、法定耐用年数については、1)フラットパネルディスプレイ製造設備(現行10年)、2)フラットパネル用フィルム材料製造設備(同10年)、3)半導体用フォトレジスト製造設備(同8年)の3設備の法定耐用年数を一律5年に短縮する。
フラットパネルディスプレイとは、液晶・プラズマテレビ等に用いられている画像表示装置であり、フラットパネル用フィルム材料は、フラットパネルを構成するカラーフィルターと偏光版をいう。また、フォトレジストとは、半導体基板上に回路を焼き付けるための液体材料である。
このほか、法定耐用年数の短縮特例に関し、納税者の利便性の向上のため、汎用性を有し、他の納税者においても耐用年数の短縮に関する承認申請を行うことが予想されるような資産については、国税庁より承認事例の公表を行うこととされた。
なお、固定資産税の償却資産については、資産課税としての性格を踏まえ、現行の評価方法を維持することとされている。
(提供元:21C・TFフォーラム)