税務コラム NEWS
【税理士任せでも加算税 虚偽確定申告で最高裁】 2006年5月18日
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税理士が勝手に提出した虚偽の確定申告に対し、納税者本人にペナルティーを科すのは不当として、東京都大田区の女性が重加算税の課税処分取り消しを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷は20日、女性勝訴の2審東京高裁判決を破棄、過少申告加算税約80万円の納付義務を認めた。
島田仁郎裁判長は判決理由で「税理士に任せきりでも、納税者に確認不足などの落ち度がある場合、過少申告加算税(10−15%)は免れられない。ただ税理士の隠ぺいを納税者の行為と同一視できず、35%の重加算税まで課すのは不当」との判断を示した。争点
申告・納税を依頼された税理士が勝手に脱税を行った場合、依頼した側の納税者はその責任を問われるのかどうか。(平成18年4月20日・第一小法廷判決)概要
納税者は、それまで住んでいた土地建物を売却し、新たにマンションを購入。最寄りの税務署によれば、売却益に対する税金は800万円程度とのことだったが、税理士に相談したところ「550万円で済む」という。納税者は早速、手数料10万円を加えて560万円を税理士に手渡し、申告・納税を依頼した。だが、税理士には最初から納税する気はなかった。虚偽の申告書を提出し、560万円を着服してしまった。
ところが、間もなく国税局査察部の調査でこの不正行為が発覚し、税理士は逮捕された。判決
本件訴訟では、税理士のこの行為に納税者が加担していたのかどうかが争われた。当然、税務署は「納税者にも責任あり」として重加算税を賦課してきたが、これを不服として納税者が争ったもので、一審も控訴審も納税者が勝訴、重加算税どころか過少申告加算税も払う必要はない、との判決が下された。これに対して今回の最高裁では「重加算税は払う必要はないものの、過少申告加算税を賦課しない正当な理由はない」との判断を示した。 -
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(共同通信)