税務コラム NEWS
【役員退職給与の損金算入で注目判決】 2006年9月11日
- 役員退職給与は実際に役員が退職していない場合でも一定の場合には、実質的に退職と見なして退職給与の損金算入を認める取扱いがあるが、京都地裁はこのほどこの取扱いに絡んで注目される判決を行った。
法人税基本通達9−2−23では、常勤役員が非常勤役員になった場合や分掌変更後の報酬額が激減した場合等にその役員に支給した退職給与の損金算入を認めているが、原告法人は業績不振から事業を転換した際に、代表取締役が代表権のない取締役になるとともにその報酬額を50%以上減額し、代表取締役を退任した際に支給した役員退職給与をこの取扱いによって損金算入した。これに対して税務署は損金算入を否認する更正処分を行い、原告はこれを不服として提訴していた。
判決では、元代表取締役がその後も経営の重要な意思決定に関与していること、減額されたとはいえその報酬額は現在の代表取締役(前代表取締役の妻)と同額であること等から、実質的に退職したとはいえないとして税務署の処分を正当とした。つまり、基本通達9−2−23で例示している事実があれば、役員退職給与の損金算入があらゆる場面で認められるわけではなく、あくまでも実質判断によるべきとの判断である。
原告側は判決を不服として控訴しており、この判決が確定しているわけではないが、役員退職給与の損金算入については留意したい判決といえよう。 - (提供:税研情報センター)