税務コラム NEWS
【確定申告の注意点 その2】 2007年2月6日
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確定申告で得するケースもある申告不要の配当所得
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平成18年分の所得税から適用される改正点の一つに、確定申告が不要となる少額配当の対象となるものがある。それは、配当等の支払の基準日が平成18年5月1日以降のもので、1回の支払額が「10万円×配当計算期間の月数(最高12ヵ月)÷12」で計算した金額以下のものが、申告不要の対象となったことである。 配当所得の申告不要制度は、1)上場株式等の配当金(持株割合が5%未満場合に限る)、2)非上場株式などで1回の支払を受ける配当金額が5万円(年1回の場合は10万円)以下の少額配当が対象となっている。
配当所得は、配当等の支払の際に、上場株式等(持株割合が5%以上のものを除く)は10%の優遇税率で源泉徴収され、非上場株式など上場株式等以外は20%(地方税は源泉徴収なし)の税率で源泉徴収されて、ともに申告不要となる。持株割合が5%以上の大口の上場株式等の配当は申告不要制度の適用がない。
申告不要制度は、源泉徴収で課税関係が終了し、面倒な申告手続きが必要ないので便利だが、なかには確定申告をしたほうが有利な場合もある。簡単にいえば、確定申告した場合の自分の所得に対する税率が、配当所得に対する源泉徴収税率を下回るケースでは、配当所得を含めて確定申告すれば、配当所得の源泉徴収分からいくらかの税金が戻ることになる。
申告して得するケースは、所得税率が10%で収まる課税所得金額330万円以下の場合が目安といわれている。平均年収でいえば約600万円以下の場合だ。これらの所得層が確定申告すれば、単純計算では、すでに源泉徴収されている10%分の税金が戻ってくることになる。
ただし注意したいのは、配偶者控除や扶養控除との関係である。例えば、妻が配当所得を申告して還付を受けたが、その結果、給与所得に配当所得を加算すると妻が配偶者控除の対象外となって、夫のほうで税金が増えてしまい、トータルすると結果的に損するケースも起こりうる。こうした点も考慮した上で、申告の有利、不利を考える必要がある。
(提供元:21C・TFフォーラム)