税務コラム NEWS
【大幅に縮小される逓増定期保険の節税効果】 2008年1月23日
- これまで、一定要件をクリアーすれば保険料が全額損金算入できた逓増定期保険の節税効果が大幅に縮小される。国税庁は昨年12月26日、「法人が支払う長期平準定期保険等の保険料の取扱いについて」と題した改正通達案を公表し、全額損金算入を認める保険期間満了時の年齢を60歳以下から45歳以下に大幅に引き下げる見直し案を示した。
現行の逓増定期保険の保険料の処理は、保険期間の経過により保険金額が5倍までの範囲で増加する定期保険のうち、その保険期間満了時の被保険者の年齢が60歳を超え、かつ、加入時の被保険者年齢に保険期間の2倍に相当する数を加えた数が90を超える場合は、保険期間の最初の60%に相当する期間に支払う保険料は、2分の1を損金算入し、2分の1を前払保険料として資産計上しなければならないとされている。
しかし、保険期間満了時の年齢が60歳以下であれば、保険料支払年度に全額損金算入できることから、生保各社も節税効果をうたって売り込んできたものだ。国税庁は、逓増定期保険は保険期間の前半において保険料の中に相当多額の保険料が含まれているとして、平成8年7月に、その支払保険料の損金算入時期に関する取扱いの適正化を図ってきたが、その後の生保各社の商品設計の多様化等に対応するため見直すものだ。
見直し案では、保険期間満了時の年齢を45歳まで引き下げ、その他の被保険者要件も見直す。保険期間満了時の年齢が70歳を超え、加入時の被保険者の年齢に保険期間の2倍の数を加えた数が95(現行105)を超える場合、最初の60%の期間は支払保険料の3分の2に相当する金額を前払保険料として資産計上。同様に80歳を超え、かつ同120を超える場合、支払保険料の4分の3を資産計上するというものだ。
これらの条件のいずれにも該当しなければ、保険料支払年度に全額損金算入できるが、現行に比べその条件が大幅に厳しくなっており、節税効果も大幅に縮小されることは否めない。国税庁は、1月末までこの見直し案に対する意見を一般から募集した上で、早ければ2月中にも適用する考えだ。
(提供元:21C・TFフォーラム)