税務コラム NEWS
【特殊支配同族会社課税の節税策に落とし穴】 2009年6月16日
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特殊支配同族会社課税への“対応策”に潜む落とし穴に関心が寄せられている。特殊支配同族会社とは、社長やその家族などが発行済株式の9割以上を保有し、かつ、常務役員の過半数を占める同族会社のこと。特殊支配同族会社になると、その社長に支給する給与のうち給与所得控除相当額を損金算入できなくなる。
ただし、1)直前3年以内に開始する各事業年度における所得の平均額(基準所得金額)が年1600万円以下である場合、2)直前3年以内に開始する各事業年度における所得の平均額が年1600万円超年3千万円以下で、かつ、その平均額に占めるその役員給与の額の割合が50%以下である場合――については課税対象外とされており、多くの同族会社が基準所得金額を1600万円以内に納めるよう調整しているという現状がある。
いま関心が寄せられているのは、ここでいう「法人所得」の解釈。基準所得金額の計算の元となる法人所得は、業務主催役員への役員給与を支払う前段階の所得を指す。つまり、損金処理をしていた社長の給与と法人所得とを合わせた金額の過去3事業年度平均が「基準所得金額」になるということ。通常の法人税額計算上の法人所得は、定期同額給与など一定の給与を支払った後の所得となるため、こちらの法人所得と勘違いしていると“調整”の意味がなくなってしまう。
また、うまく「1600万円以内」に抑えたつもりでも、他の費目として処理していたものが調査などで給与扱いとされることにより、基準所得金額が1600万円超となってしまう場合もある。実態が役員への経済的利益とみなされる福利厚生費や広告宣伝費などには注意が必要だ。
(提供元21C・TFフォーラム)